HABU’S PHOTO GALLERY

HABU’S VOICE

シリーズ「空写真を極める」

1、かっこいい写真が撮りたい

僕は若い頃10年ほどファッション企業の広告を作る仕事をしていた。

はじめのうちは代理店やデザイン会社の提案する広告をそのまま受け入れていたが、

経験を積むうちにファッション企業なんだから、もっとかっこいい広告を作らないとダメなんじゃないかと思い出した。

それから海外のファッション誌を見たり、様々なブランドの広告、ポストカードなど

自分なりのかっこよさをスクラップブックにコレクションし始めた。

そうするうちに次の企画ではこれに似たイメージの写真にしたいといった自分なりのアイデアを、

クリエーターたちにぶつけられるようになった。

イメージを思うように形に出来ないクリエーターをそれが出来る人に変わってもらった。

やがて、お互いにアイデアを出し合い美意識を共有できるチームが出来上がっていった。

彼らからはたくさんの事を学んだ。

写真の見方。型通りでない事のかっこよさ。海外で今評価が高い写真家の事。

そのうちに広告制作クルーのまとめ役として海外に出張に行かせてもらえるようになった。

せっかくニューヨークやジャマイカやミラノに行くのだからと、一眼レフのカメラを買った。

僕はモデルを撮るわけではなかったが、すぐ横にいるカメラマンやデザイナーは難しい露出の事などよく教えてくれた。

そんなロケを何度かした頃から、帰国後にプライベートな写真の批評会をするようになった。

スライドプロジェクターで写真を映写し、酒を飲みながら「これいいね」「もうちょっとアングル変えた方がいいんじゃないか」

それはセンスのいいトレーニングになった。

そのうち自分が制作するカタログの隅に、イメージカットとして自分の写真を載せるようになった。

そのつもりでロケの最中も写真を撮るようになった。

チームの中での僕の写真の評価は上がっていった。

 

32歳になった2月、水着カタログ撮影のために行ったオーストラリアで僕の人生は変わった。

広告という消耗品の制作に飽きていた僕は、ここで思う存分写真を撮りたいと思い、

帰りの飛行機の中で会社を辞める決心をした。

それから僕の写真家への道がスタートした。

 

以来30年近い時間が流れたが、撮りたい写真は変わらない。

かっこいい写真だ。

風景でも空でも人物でも物でも。

若かった僕がカタログの隅にイメージカットとしてどうしても乗せたくなる様な写真。

それが僕のセレクトの基準だ。

撮るのはいくらでも、何枚でも、チャレンジしたり、冒険したり、アイデアを盛り込んでみたりすればいい。

でも発表するのは「僕なりのかっこよさのフルイ」を通り抜けた写真だけだ。

その基準を守り続ける事でHABUらしい写真が認知されてきたんだと思う。

もの言わぬ写真、説明のない写真で個性を発揮するのはとても難しい。

でも説明のない写真を見た誰かが、これHABUの写真だと思うと思ってくれる

そんなかっこよさへのこだわりを持ち続けていたい。

 

2015年7月4日